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Dr. Otto Scharmer
MIT Senior Lecturer / Presencing Institute 創設者 / IDEAS Asia Pacific プログラムディレクター
「あらゆるシステムが生む結果の質は、人々の意識の質に依存する」── Theory U の核心から、 このプログラムがリーダーの内面をどう変容させるのかを語ります。
皆さん、こんにちは。オットー・シャーマーです。MIT のシニアレクチャラーであり、MIT IDEAS Asia Pacific プログラムのファカルティ・チェア(主任教員)を務めています。
このプログラムが見据えているのは、こういうことです。あらゆる組織、そして社会として、さらにはグローバルなコミュニティとして、私たちはいま新しい時代に入りつつあります。それは、これまでとは異なる種類の危機や混乱を伴う時代です。私たちは「複合危機(ポリクライシス)」をよく知っています。環境の崩壊、分断、戦争、そして技術がもたらす混乱。さらに、とりわけ若い世代に広がる絶望感、メンタルヘルスの「パンデミック」── そうした問題の数々です。
これらは新しい課題群であり、どこかですべてが相互につながっています。AI がもたらす課題も含めてです。そして、こうした課題を、イノベーションと根本的なシステム変革の「機会」として捉え直すためには、新しいリーダーシップの能力が必要になります。MIT IDEAS プログラムが扱っているのは、まさにそこです。
しかも、ここで言うリーダーシップの能力とは、単に頭の中だけのもの ── ひとつのフレームワークを別のフレームワークに置き換える、といったことではありません。もちろん新しいフレームワークも扱いますし、それは重要な要素です。でも、それ以上のものです。本当に問われているのは、新しいタイプの「立ち現れてくる複雑性(emerging complexity)」に向き合うときに必要となる、リーダーシップの能力なのです。
「立ち現れてくる複雑性」とは、こういうことです。課題は新しく、しかも変化し続けていて、私たちが返すべき答えがあらかじめ明確ではない。だから私たちは、それに「学び」を通してしか近づけません。やってみることで学ぶ(learning by doing)、革新的なやり方を通じて学ぶ、そして境界を越えて協働する力を高めていくことを通じて学ぶ。どの境界を越えるのか? ── システムとセクターの境界です。ビジネス、政府、市民社会という、それぞれのセクターの境界を越えて。
だからこそ、このプログラムは、アジア太平洋地域から集まる参加者で構成されています。ビジネス界のリーダー、政府や国際機関のリーダー、そして市民社会のリーダー。私たちに必要なイノベーションは、これらすべての境界を越えて協働することを求めている ── そう信じているからです。
これこそが、このプログラムの本質です。深いシステム変革(deep systems change)のためのリーダーシップ能力を高めること。前例のない混乱の領域 ── 私たちがますます足を踏み入れつつある領域 ── に向き合うときに求められる、深い変革のための力です。
だからこそ、この旅を共に歩むこと、MIT に集い、東アジア・東南アジア・アジア太平洋地域で複数のモジュールを経験すること、それは素晴らしい機会になります。自国の人々とだけではなく、地域全体から、そしてあらゆるセクターから集まった人々と共に。